なんてことはないのさ

こんにちは。蓮國もりです。 コンビニとライブハウスと家を往復してはアルコールを掻き込むばかりの生活を送っているため、どうも書くことがなくなってしまった。
コンビニバイトなんてもう五年ほどやっているので、「こんなことありました!」なんて取り立てて騒ぐほどの出来事もそう起きない。

いや、取り立てて騒ぐこともなくなるぐらいに俺がベテランになってしまったのだろう。
俺の感性も擦り切れてしまったものだな、としみじみ思う。

だってそうだろう?
動画を撮りながら「ガリガリくん温めてください!」とかほざく中学生グループを撃退したことも、ATMで爆睡しだす酔いどれじじいを警察に引き渡したことも、「くぎあっぷ」とひらがなで書かれた翻訳サイトの画面というヒントだけでアジア系外国人のお客様をトランプまで導いたことだってある。
トランプのことくぎあっぷって翻訳するサイトもどうなんだとは未だに思っているけど。

ま、なにせこの蓮國をコンビニで動揺させようもんなら、そいつはすげえ客だってことよ。

例えば、鼻ピアスを付けた金髪の若い女性がコーヒーを買った時。
「すみませーん、これ、どうやって淹れるん?」って訊かれたって臆せず教えることなんてもはや朝飯前、当たり前のことだ。(コーヒーはセルフで淹れてもらうタイプのコンビニです。)

もしもその後、「あのー、コーヒーってなんか入れるん?」って訊かれたとしても動揺しちゃあいけない。 失礼にも値する。

訊けば、どうもこのお客様、コンビニコーヒーは初体験らしく、「コーヒーに砂糖やミルクを入れるべきか否か」を問うてきている様子。
正直なところをいえば「いやコーヒーに対してその程度の知識しか持っていない奴がわざわざコンビニコーヒーを買うな。ライフガードでいいだろ、そんなもん。」とは思ったよ?
でもそんなことは顔にも出さないさ。

まあ、今これを読んでいる凡百の素人どもならばすんなり答えることは出来ないかもしれない、なに、恥じることはないさ。人間ってのは成長するもんさ。

(砂糖を入れると甘くなりますよ、だと「それぐらいわかるわ!」って怒られるかもしれないな、何本入れればどれぐらいの甘さになるかを答えようか。ミルクを入れることによってどう変化があるかも教えなければならないかもな。そもそもホットコーヒーだから、スティックシュガーじゃないといけないことは鉄則です言わねばならぬだろう。てかそんなに知らないことある?コーヒーのこと。)

(とにかく、俺はこの子のコーヒーデビューを成功させてあげなければいけない、それが俺の"義務"ってもんじゃないか。)

この間1秒ほど。
どうだ、深夜であれここまで思考が働くなんて我ながらなんてナイスブレイン。お前らにはマネできねえだろうよ。

逡巡を張り巡らせたあと、明るく、ハキハキと。
こう言ってやったさ。

へぁ?!!ひ、人それぞれじゃないスかね?

これよ。